2022.06.21 | New Zealand Diary
『MATARIKI −マタリキ』ニュージーランド先住民マオリ族のお正月
マタリキとはマオリ語でおうし座のそばにある昴(スバル)プレアデス星団のことです。
ニュージーランドでは季節が日本と真逆ですのでこれから冬至に入ります。
もっとも夜が長いミッドウインター、冬至を迎えたあと、
少しづつ日が長く始めるこの時期、東の空にマタリキの星は輝き始めます。
マオリ族は古くから星を見て航海をする優れた航海術を持っていました。
特に夜に航海をする際は、夜空の星を見分けることは大事なこととされ、星の存在が常に生活とともにありました。
おうし座(の中のプレアデス星団)を見つけることは、マオリ族にとって新しい事の始まりを象徴し、新しい年の始まりを知らせるシグナルです。
マオリの人々はマタリキを新しい一年の始まりとしてお祝いします。
家族や親戚で集まり、先祖代々の霊をしのびながら、食事や歌を楽しみマタリキを過ごします。
その年の豊作豊漁に感謝するとともに、来たる年も自然からの恵みがあるように願います。
ちょうど日本のお盆と正月を一緒にしたような感じです。ご馳走が振舞われ、お互いのことをねぎらい、家族や親類部族に伝わる古い話をしたりして過ごします。
この時期、幼稚園や小学校では、マオリの歌を唄ったり、カパハカと呼ばれるダンスを踊ったり、食べ物をシェアしたりしてみんなでお祝いします。
各地でイベントが開催され国中でお祝いします。(祝日にもなっています。)
このマタリキには神話があって、マオリ族に限らずNZの子供たちは皆知っています。
私も娘から物語をいろいろ教えてもらいました。
神話では、この7つの星からなるプレアデス星団は母と6人の娘であり、母の名前はマタリキです。
毎年6人の娘と一緒に大地の神様であるマタリキの母「パパトゥアヌク」を訪ねます。
マタリキの娘はそれぞれ特徴があって、新年の準備の手伝いをしながら、祖母であるパパトゥアヌクからいろいろなことを教わります。
7人の神様のそれぞれの役割はこのような感じになります。
「マタリキ」
星団全体の名にもなっているマタリキですが、特定の星を指す場合は、希望と内省、環境とのつながり、人々の健康と幸福を意味します。
「トゥプアランギ」
美しい歌声を持つ神様、その歌声で自然界や生き物たちを喜びで満たし生き生きとさせます。
「ワイティ」と「ワイタ」
彼らは双子です。虫や生物、鳥たちが自然界で互いが助け合い循環し続けるよう、海や森の環境と生態系を守っています。
「トゥプアヌク」
トゥプ「成長」ヌクは「大地」を意味します。自然界で育つ食物や薬草の成長をサポートします。
「ウルランギ」
無邪気さと愛情に溢れ明るさを周りに与えます。年穏やかで周りに良い影響を与えることが常に成功の鍵であることを私たちに教えてくれます。
「ヒワ・イ・テ・ランギ」
願いの星で、来たる年の希望や願望を叶えるのを助けると言われています。
私も子供たちもニュージーランドに暮らしながらマオリ族のカルチャーをとても身近に感じています。
教育にも積極的に取り入れていますので、セレモニーや何か特別な催しの時はマオリ族のダンス(ハカ)を踊り歌います。
象徴的なのはニュージーランド国歌はマオリ語で1番を歌い、2番を英語で歌います。
ニュージーランド国全体がマオリ族の文化を尊重し守り続けている所が素敵だなぁと心から思います。
マオリ族の考え方は森羅万象を尊い、自然崇拝ですので、日本が八百万の神様を尊ぶのにとてもよく似ています。それもあって日本人の私にとってはとても身近に感じる考え方や文化です。