2022.08.01 | New Zealand Diary
コラム:なぜYARNはメイドインジャパンにこだわるのか。
YARNのウェアは100%ニュージーランドメリノウール を使いMade in Japanにこだわっています。
それは日本の品質と技術が高いという側面だけではなく、日本の縫製工場産業の置かれている深刻な状況も伝えたいという思いがあります。
日本のものづくり。
長い時を経て積み上げられた経験、作り手の精神と技術は他の国にはないとても特別なものがある、私はメイドインジャパンがいかに素晴らしいかを海外で暮らすことでより深く知りました。
日本にいたら当たり前なこと(行き届いた丁寧さと品質に対するクオリティ)が外に出たら全然違ったのです!長い歴史の中で培われたものづくりに取り組む真摯な取り組み、それを支える精神性はとても尊いものです。
残念なことに。
ファストファッションの波とともに、ブランドや企業の意識はいかに安く大量に販売するかへ
人々は安くて見た目の良いものをたくさん買うことへ流れてしまいました。
人件費、工賃の安い国で生産すれば原価を抑えれます。国産は当然高くなります。
大量生産、工賃の安さを求めて縫製の現場生産が海外に移行し、国内においては縫製工場が著しく減少しているという深刻な問題があります。
これまで築きあげてきた日本の服作りの技術を継承すべく働き手が増えず、職人の高齢化も進み「縫製工」という仕事への担い手がとても少なくなっています。
縫製工場の現状。
これはYARNが常に直面している難しい問題です。
例えば、先月まで請け負ってもらえた工場で、YARNの希望する縫製方法で特殊なミシンを扱える技術者が高齢でやめてしまってもうできない。テクニックの必要な縫製ができるミシンの使い手がほとんどおらずYARNの手間のかかる縫製のオーダーを受けてもらえず、また一から工場探しになることも多々あります。
YARN製品の縫製はどこの縫製工場でもできるというわけでありません。
縫製がとても難しいメリノ生地が扱え、フラットシーマ(※)技法で縫製できる職人と専用ミシンのある工場で生産を行なっていますが、こういった縫製のできる工場は極わずかしかありません。
(※フラットシーマ、肌へのあたり部分がなるべくフラットになることで肌への刺激を軽減させることを目的とした縫製方法)
残念ながらこういった技術と設備のある工場がどんどん減少しているのが現状です。
YARNも立ち上げた当初はメリノ生地を扱った経験がない工場さんに製品を作ってもらえるようお願いし、これまで何度もミーティングと試作を重ねて製品にしています。
生地自体が有機的で動きやすく丸まりやすい性質を持つので1着縫製するのに他の繊維と比べて時間がとてもかかる作業となります。職人泣かせすぎる製品なのです。
YARNは小さなブランドですので大量に生産し在庫を持つことができません。
必要な分だけ必要な方に届くようにと、過剰には作りたくないという考えも持っています。
生産の裏側のことですが日々取り組んでいるこういった背景もご理解いただけますと幸いです。
どの工程でも手を抜かず良いものを提供したいという思い出全力で取り組んでいます。