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2023.02.20
「ギャルリももぐさ」にて、YARN 初のスライドトークをしました。
岐阜県は多治見市にある「ギャルリももぐさ」にて開催した企画展「百草冬百種展」の初日にスライドトークをさせていただきました。 テーマは「ニュージーランドから~YARNのものづくり」 開催にあたり、ももぐさのオーナーのあきこさんから、以下のようなご紹介のメッセージをいただきました。 「2011年ニュージーランドに移住された下山陽子さんが、このような思いに至りYARNを始められたお話やどのようにそのシステムが成り立っているかなど、是非聴きたい、と思いました。130年も前から女性参政権が導入され、先住民の議席もある国。羨ましい若く知的な女性首相。YARNの製品を通じて、自然との共生、子ども達に残せるより良い未来を生きていくヒントがあるのではないかと思います。」 ※全文は以下リンク先 百草冬百種展 2023|ギャルリももぐさ (momogusa.jp) このメッセージをうけて、私に何が伝えられるだろう?私にしか伝えられないことは何だろう?と考え、以下の4部の構成にすることにしました。 1)YARNとメリノウール 最初に私がYARNを立ち上げた理由や、メリノウールそのものの魅力、中でもYARNが採用している「ZQ認定メリノ」についての特徴をお話したいと思いました。チクチクしない優しい肌ざわりのこと、冬に温かいのはもちろん実は夏に涼しいこと、潤い・湿度を調整できてさらっと快適なこと、消臭効果やUVカット機能もあって、洗濯機で洗えてすぐ乾くことなど、日本にまだまだ伝わっていないと感じていた、メリノウールのたくさんの魅力です。 2)ファッションと社会課題 次にファッションが抱えている課題お伝えしたいと思いました。例えば、日本では人口が減少するなかでも、服が年間35億着も供給されていること。毎年48万トンが可燃・不燃ごみとして焼却・埋め立て処分されていること。海洋マイクロプラスチック問題の35%が合成繊維の洗濯であること。日本の繊維産業は30年前の1/4にまで衰退していること。経産省や環境省の調査データをもとに私たちが今直面している事実を伝えたいと思いました。 3)YARNが提供できる価値 そんな中でYARNは何ができるのか。以下の5つの約束をお話させていただきました。 1.ニュージーランドの自然の恵みであるメリノウール 2.Made in Japanのデザインとクオリティ 3.生産者の顔が見える安心のトレーサビリティ 4.自然・人・社会の未来を紡ぐサスティナビリティ 5.野鳥を保護する寄付活動 4)ニュージーランドの日常 最後は、ニュージーランドの大自然や、その中での暮らしや文化、教育の在り方、先住民のマオリ族の考え方や、多民族の多様性を受け入れる懐の深さなど、私自身の日常の生活風景写真を切り取りながらお話させていただきました。 YARNにとっても、私にとっても初めてのスライドトークでしたので、ドキドキしながらスタートしましたが、約1時間楽しんでお話することができました。参加いただいたお客さまのたくさんのご質問や、温かいお言葉、優しい笑顔が今でも記憶に残っています。 (以下、ももぐさのインスタグラムより) 昨日は企画展「百草冬百種展 2023」開催にあたり、ニュージーランドのメリノウールを使用したインナーウェアを展開しているYARNの下山陽子さんにお話を伺いました。 YARNの製品の1番の特徴である、メリノウールについてや、豊かな自然に囲まれたニュージーランドの様子を伝えていただきました。 ニュージーランドは野鳥や自然の保護に力をいれており、中でも、洗濯をすることにより、化学繊維から目に見えないマイクロプラスチックが海に流れ出しているというお話を聞いて衝撃をうけました。 着心地や機能性はもちろんのこと、サスティナブルなモノづくりをするYARNの理念にもぜひ注目していただきたいです。 ------------- YARNの活動をお話することで、心地よく豊かな生活をおくるきっかけになったり、環境に配慮する大切さへの気づきだったり、女性の起業を後押ししたり、何かの一助になっていたら幸いです。 また、このような機会をいただけるのでしたら、今後も積極的にお話できればと思いました。お気軽にお声がけいただけましたら幸いです。 -
2022.08.07
コラム:ブランドと人権 エシカルファッションとは。
ブランドと人権の関係性。だれのために? 今回は大量生産の裏側のこと。 フェアトレードについて。 『Who made my clothes?(私の服って誰が作ったの?)』 このムーブメントをご存知ですか? 発端は2013年4月24日にバングラディッシュの首都ダッカで起きたビルの崩落事故。「ラナ・プラザ(RANA PLAZA)の悲劇」(詳細はググってください🤳😃) 大量生産における人権問題。 多くの命が失われたバングラディシュの縫製工の賃金は1日中劣悪な環境で働いて時給数十円だったそうです。 この事故から消費者ムーブメントに繋がり、運動が欧州各地で起こり、ブランド側の透明性や説明責任が問われていきました。 この当時、私はニュージーランドにいてこのムーブメントのことを知りました。 だれかの犠牲の上に作られた洋服の実態を知りショックを受けました。 私がYARNを立ち上げたいと思った一つのきっかけにもなっています。 トレーサビリティー(透明性) 生産者や労働環境、プロセスのわかるものづくりこれは本当に大切な仕組みだと思いました。 人件費が安い国で生産した商品を先進国で販売する仕組みのファストファッションだけでなく、高級ブランドのブランドの価値を下げないための大量廃棄も問題です。 たとえば2018年には、某イギリスの高級ブランドが、およそ42億円分の売れ残りの在庫品を安売りや転売などでブランド価値を下げない目的で焼却処分していたことが世界的に知られました。 アパレル・ファッション業界には「余剰在庫、在庫過多」問題が根深く存在しています。 シーズン毎の入れ替え、トレンドを追い目新しいデザインを展開するため、さらに低価格競争の世の流れによって、「過剰生産」する仕組みが出来上がっています。 このような余剰在庫問題は、特定のブランドだけが抱える課題ではありません。多くのメーカー・ブランドが新品の製品を毎年焼却処分している現況があるのです。 どうして燃やす必要があるのか、ということのひとつに経営サイドの問題として在庫は残しておくと資産として税金がかかりこれを回避するという理由もあります。 作り手にとって(生産に携わる全ての人)燃やされてしまったり埋め立てられてしまう事実は悲しい。 聞いた話で、日本のニット職人さんが時間をかけて作ったニットを販売側では新発売から数週間後にはバーゲンのワゴンコーナーに置かれていたことを知って、自分のしてる事はなんだろうとやりきれなかったとおっしゃっていました。 「だれも悲しまず犠牲にならない物作り」を実現するには、 時間をかけて作ったもの、日本やニュージーランドで携わる方々の対価がしっかり支払われるためにはお客様に購入いただく商品のお値段がどうしても高くなってしまうということをご理解いただけたらと思います。 エシカルファッションとは? エシカルとは日本語に訳すと「倫理的な」という意味になります。 エシカルファッションは「人、動物、社会、環境に優しい取り組みをするファッションのこと」 •生産側として 生産にまつわる過程において、生産者の権利を尊重していること。動物ウェルフェアもです。 生産者の賃金や権利はもちろん、整った労働環境の中で働いていることがポイントとなります。 •消費側としてのエシカル消費とは 皆さんが何気なく選んでいる服、お気に入りの服が、どんなふうにつくられているのかについて、少し敏感になって想像力を働かせることが、犠牲のうえに成り立っているファッション産業の構造を変えることが出来ます。 毎日の生活のすべてのモノをフェアトレード、エシカル、オーガニックにするのはとても難しいですし、あまり固執して考えるのはよくないけれど(私は楽しくをモットーにエシカルを取り入れています。)ゆるりと楽しくエシカルを考えてみるといいかもですね。 値段にかかわらず(安くても高くても)気に入って長く着たり、サイズや好みが変わったらフリマや人に譲ったりすることもできます。 最後の最後は小さく切って雑巾などお掃除に使うなど。 【エシカル】という言葉や定義は日本では耳慣れないかもしれませんが最近では見聞きすることも多くなってきたのではないかと思います。 私YOKOは2016年にRooms大合同展示会(東京)のエシカルブースに出展しました。その時はNZメリノで作ったベビーブランケットや寝具を紹介しましたがまだまだ「エシカルってなに?」という時代でした。 その時の感想は「ぜんぜんサスティナブルやエシカルという取り組みやその商品の意味が響かないんだ、、伝わらない、、、」というとてももどかしい思いをしました。 それでもその大切さを伝えたいと2018年にインナーウェアにフォーカスした「YARN」を立ち上げ現在に至ります。 YARNの商品はエシカルな生産をすることで原価が上がってしまいます。 でもできるだけ気に入って長く着ていただきたいので着心地やデザインにこだわっています。 そして破れても着てもらえるようお直しも承っています。 小さな穴だったらご自分でもお直しいただける方法をお伝えしたりしています。 つくるだけで終わりにしない、 皆さまの生活に寄り添い続けられるYARNでありたいと考えています。 -
2022.08.01
コラム:なぜYARNはメイドインジャパンにこだわるのか。
YARNのウェアは100%ニュージーランドメリノウール を使いMade in Japanにこだわっています。 それは日本の品質と技術が高いという側面だけではなく、日本の縫製工場産業の置かれている深刻な状況も伝えたいという思いがあります。 日本のものづくり。 長い時を経て積み上げられた経験、作り手の精神と技術は他の国にはないとても特別なものがある、私はメイドインジャパンがいかに素晴らしいかを海外で暮らすことでより深く知りました。 日本にいたら当たり前なこと(行き届いた丁寧さと品質に対するクオリティ)が外に出たら全然違ったのです!長い歴史の中で培われたものづくりに取り組む真摯な取り組み、それを支える精神性はとても尊いものです。 残念なことに。 ファストファッションの波とともに、ブランドや企業の意識はいかに安く大量に販売するかへ 人々は安くて見た目の良いものをたくさん買うことへ流れてしまいました。 人件費、工賃の安い国で生産すれば原価を抑えれます。国産は当然高くなります。 大量生産、工賃の安さを求めて縫製の現場生産が海外に移行し、国内においては縫製工場が著しく減少しているという深刻な問題があります。 これまで築きあげてきた日本の服作りの技術を継承すべく働き手が増えず、職人の高齢化も進み「縫製工」という仕事への担い手がとても少なくなっています。 縫製工場の現状。 これはYARNが常に直面している難しい問題です。 例えば、先月まで請け負ってもらえた工場で、YARNの希望する縫製方法で特殊なミシンを扱える技術者が高齢でやめてしまってもうできない。テクニックの必要な縫製ができるミシンの使い手がほとんどおらずYARNの手間のかかる縫製のオーダーを受けてもらえず、また一から工場探しになることも多々あります。 YARN製品の縫製はどこの縫製工場でもできるというわけでありません。 縫製がとても難しいメリノ生地が扱え、フラットシーマ(※)技法で縫製できる職人と専用ミシンのある工場で生産を行なっていますが、こういった縫製のできる工場は極わずかしかありません。 (※フラットシーマ、肌へのあたり部分がなるべくフラットになることで肌への刺激を軽減させることを目的とした縫製方法) 残念ながらこういった技術と設備のある工場がどんどん減少しているのが現状です。 YARNも立ち上げた当初はメリノ生地を扱った経験がない工場さんに製品を作ってもらえるようお願いし、これまで何度もミーティングと試作を重ねて製品にしています。 生地自体が有機的で動きやすく丸まりやすい性質を持つので1着縫製するのに他の繊維と比べて時間がとてもかかる作業となります。職人泣かせすぎる製品なのです。 YARNは小さなブランドですので大量に生産し在庫を持つことができません。 必要な分だけ必要な方に届くようにと、過剰には作りたくないという考えも持っています。 生産の裏側のことですが日々取り組んでいるこういった背景もご理解いただけますと幸いです。 どの工程でも手を抜かず良いものを提供したいという思い出全力で取り組んでいます。