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2022.03.07
Puketi プケティの森へ / 保護活動
ニュージーランド北の森林保護区プケティの森は、 ニュージーランド、ノースランド地方で最も広大な原生雨林を形成しています。 この森に、絶滅の危機に瀕した「コカコバード」が生息しています。 また、プケティの森は、古代のカウリという木が多く生殖する森でもあります。15,000ヘクタールのプケティの森(隣のオマフタの森と合わせて)には、NZ固有種のカウリ、ポドカープ、広葉樹の壮大な林と、370種もの植物を含む豊かな生態系と多様性があり、世界の他の場所では類を見ない森です。 森はかつて多くの多様な鳥類がいましたが、人間の移住が盛んになった時代に持ち込んだ害獣によって数々の固有種が絶滅してしまったり、残りの在来鳥の多くも大幅に減少し、絶滅に直面しています。害獣とされる野良猫、オコジョ、ネズミは、毎日多数の鳥に危害を加えています。 それらを排除する取り組みとしてボランティア団体により設置された各種のトラップは、何千羽もの在来鳥の命を救うことができます。 人間の影響を受ける前は、陸生哺乳類は生息せず、鳥しかいない鳥の楽園だったニュージーランド。鳥たちは天敵がいなかったこともあり、高く飛ぶ必要がなく飛ばない鳥の種類が多いのもニュージーランドバードの特徴です。 過去には、プケティの森はマオリと初期のヨーロッパ人入植者の生活の中心でした。19世紀後半から前世紀前半にかけて、その巨大なカウリの木は繁栄する木材産業とカウリガム産業を支えました。しかしながら人間がこの大木をたくさん伐採してしまいましたので数が激減してしまいました。 森林は現在、ノースランドフォレストパークの一部として保護されており、ニュージーランド政府の自然保護局によって管理されています。 NZでは多くの固有種が国の許可なしでは伐採できないという法律があります。自分の庭に生えていても、保護指定がされている種類であれば自由に切ることができません。それほどに今はネイティブの植物をまた再び取り戻すように国を挙げて取り組んでいます。 この森に放たれて管理されているコカコは10ペアのみ確認されています。他の森にも保護されていますが、この森でも繁殖が試みられています。コカコは森の奥に住み滅多にその姿を表しませんがフルートのような美しい声で、まるで音楽を奏でているかのように鳴きます。 私はこのプケティの保護ボランティアのスタッフとして働いているYoshinoさんに、ある日彼女がオークランドのYARNショップに来てくださったのがきっかけで出会いました。Yoshinoさんは日本にいた時はパタゴニアに勤務されていたので、メリノウールウェアの良さでは話が盛り上がりました。ニュージーランドの独特な生態系に興味を持ち、今は固有種の木々を育てるナーサーリーで仕事をするなどニュージーランドの自然環境を守るお仕事にされています。森のボランティアの話を聞いて、興味津々の私、その森に行ってみたくてたまらなくなり、休暇を使って友人たちと出かけることになりました。 私の住むオークランドからプケティの森まで北へ車で約6時間。 前日は嵐で当日も雨がぱらつく中の森歩きとなりました。少しウェットな森もまた神秘的で好きです。 案内をしてくれたのはイアンさん、プケキの森ボランティア活動の理事の方。イアンさんはこの森のすぐ近くに住んでいて普段はファームをされています。森に入ると、珍しいとされるシダの種類やネイティブの植物や木々のお話を沢山してくださり、ボランティアによって道の途中に仕掛けた害獣の罠の説明をしてくれました。 私たちが普通に森を歩いていても気づかずに通り過ぎてしまう植物のこと、いかにユニークな生態系であるかを聞きとても興味深かったです。もちろん歩いている中鳥たちにも沢山出会いました。 YARNのコレクションの名前にもつけている、「ファンテイル」 、「ロビン」、「ケレル 」(現在は販売終了)、そして夜は森の守り神「ルル」。 同じ景色の中にいても、目を向けるところが違うだけで、そこには別世界が広がっているようでした。 この広大な森に、害獣駆除やNZネイティブの木々を守る活動はそれはそれは途方もなく地道なことです。でも誰かが気にかけなければ行動しなければもっと自然破壊やNZの鳥たちが失われていきます。 まず、こうして森に入ってその豊かな自然の営みや恵みを感じたり、私たちにとってどうしてその森が必要かを肌で身近に感じることは本当に大切なことだと思いました。体験するということは知識に勝ることに感じます。 YARNは今後もこの森に定期的に売り上げから寄付することにしています。わずかなことですが私のできることでのNZへの恩返し、サポートをさせていただけたらと思います。 いつか機会がありましたらYARNニュージーランドツアーも将来したいと思っています。森歩きやファームへの訪問など皆様といっしょにできたら楽しそうです! 樹齢500年の大木「カウリの木」と「トタラ」、どれも先住民族であるマオリ族の言葉で名付けられています。 森を案内くださったプケティトラストの理事、イアンさんと私。 プケティトラストでボランティアをするYoshinoさんとパートナーさん 月に一度、数日森に入り山小屋で生活をして森のパトロールをします。 Pukethi Trust の活動 プケティの森を、地域社会の精神的、文化的、歴史的、経済的、社会的幸福に不可欠な完全で健康的な生きた森に復元し、将来の世代のために永続的に維持すること プケティの森のマウリ(物理的および精神的な力)と同様に、歴史的および文化的重要性を回復するため プケティの森の回復が成功し、回復された森の恩恵がより広いコミュニティによって実現されることを確実にするために、さまざまなグループを集めて代表すること プケティの森についての教育を促進し、自然保護教育と科学のリソースになるため 復旧プロジェクトのすべての段階でガバナンスと方向性を提供し、資金調達を可能にする 保全と土地所有者の意識におけるリーダーシップを示すため プケティの森に隣接する土地の所有者が、プケティの森を完全に健康な生きた森として維持するのを助けるような方法で、彼らの土地の原生林を管理することを奨励し、支援すること。 photo by Dunkan こちらからコカコの鳴き声をお聞きください。 https://youtu.be/LZEOylr5ng8 YARN コカココレクション クルーネック -
2021.06.29
バードレスキュー訪問 Bird resqcue
バードレスキューセンターはニュージーランドの各地にあり 森の中や浜辺、住宅街などで鳥が怪我を負った時に地元の人が保護して連れていく施設です。 獣医さんとレスキューセンターが連携し、回復したら野生にリリースします。 ここにいると、人々のNZの自然と共にある野鳥の存在が大きく、守るための意識が高いです。 小学校などでも環境問題について積極的に取り組みますが、野鳥を守るためには自分たちは何をすべきかも考えます。 政府もサンクチュアリを作るなど固有種を守る保護活動を積極的に行っていますし、ニュージーランド航空は、機内安全ビデオの最新作「飛べない鳥”タカへ”の大冒険」編を発表するほど、国を挙げて野鳥の保護に取り組んでいます。 ある島では、鳥だけ生息する環境を作るためにネズミや野うさぎイタチなどがその島に1匹たりとも入らないように徹底的に管理して絶滅危惧種の保護をするプロジェクトをしています。 BIRD CARE Aucklandへ運ばれてきた鳥たちがどのようにケアされているのかを子供達と一緒に見学に行きました。責任者のLinnリンさんが優しい笑顔で迎えてくれて丁寧に施設内を案内してくれました。 https://birdcareaotearoa.org.nz ニュージーランドに住み始めてから野鳥のことをとても身近に感じるようになりました。 NZは火山活動で生まれた島国で、鳥しか生息していない楽園のような環境でした。。 鳥たちは天敵に怯えることなく独自の進化を遂げていったのです。 飛ばなくて済んだことから飛ばない鳥、体の大きな鳥がたくさんいました。 ですがそんな長く続いたユートピアも人間の到来とそれに伴って持ち込まれた動物たちによって脅威にさらされていきます。 自然環境の変化から森を追われ絶滅してしまった鳥、絶滅しかけている鳥が今深刻です。 処置を行ったり、鳥の種類に合わせて餌を作ったりするスペース。 Kereruケレル(NZ固有種の山鳩)とルルRuru(固有種のフクロウ)が保護されていました。 カルテには症状や治療の経過が書かれています。 回復すると少し飛ぶ練習ができるように野外のケージに移動して回復を待ちます。 子供たちとこうして学ぶ機会はとても貴重ですし、次世代に残すために今何が起きているかを肌で感じて体験することがとても大事だなと思います。 ニュージーランドの豊かな自然界には鳥たちが欠かせない存在で深く繋がっています。 体の大きな鳥しか運べない木の実を森のあちこちに運んだりして、またそこから新しい木々が芽吹くのです。そう考えると何一つ欠けては今の状況がないということを考えさせられます。 YARNではネイティブの鳥たちの環境に少しでも貢献できるよう、こうした保護活動をしているセンターにわずかではありますが定期的に寄付を行っています。 鳥たちの名前はマオリ語でつけられていることが多く、YARNでもマオリ語の鳥の名前をコレクションにつけています。 次に出すシリーズはどの鳥の名前にしようかなと思う時間も楽しいです。 -
2021.06.21
鳥の楽園
皆さんは、ニュージーランドと聞いて何を連想しますか? 羊?大自然?ラグビー、それともキウィフルーツ?もしかするとキウィという鳥なら知っている!という方もいるかもしれませんね。 キウィは特徴的な細長いくちばしと羽のない茶色くて丸っこい体。その鳥の見た目とよく似たフルーツがキウィフルーツと呼ばれるようになったのです。 そんなキウィは飛べない夜行性の鳥。鳥には珍しく嗅覚が発達してくちばしの先端にある鼻の穴から匂いで食べ物を探します。この見た目がとってもユニークな鳥はニュージーランドで最もよく知られた鳥であるとともに、国のアイコンとしてありとあらゆる場所に登場していますし、また世界的にもよく知られた鳥でもあります。 ニュージーランドには他にもたくさんユニークな鳥がいます。ユニーク、という言葉は「唯一の」という意味なのですが、その言葉がぴったりな非常に特徴的な鳥がたくさんいるのです。野鳥というとなんとなく小さくて地味なイメージがあるかもしれません。またはトロピカルな地域にいるカラフルで美しい鳥をイメージされる方もいるかもしれません。世界中には本当に不思議な見た目の鳥がたくさんいるのですが、ニュージーランドにいる鳥たちも皆、どちらにも属さないまさに「唯一」という言葉がぴったりなそんな独特な鳥たちです。 その特徴はまず、飛べない鳥、大きい鳥が多いというところでしょうか。(もちろん、飛べる鳥の方が圧倒的に多いです。)8千万年という長い間孤立していた島国のニュージーランドにはコウモリ以外の哺乳類(牛、馬、鹿、うさぎ、イタチ、ネズミ、犬や猫などの四つ足の哺乳類)は、かつては存在しませんでした。この楽園のような小さな島国でひっそりと天敵に怯えることなく鳥たちは独自の進化を遂げていったのです。 ですがそんな長く続いたユートピアも人間の到来とそれに伴って持ち込まれた動物たちによって脅威にさらされていきます。絶滅の危機に置かれている鳥たちを少しでも守るお手伝いがYARNの活動を通じて少しでもできたらとYARNではコレクションごとにNZに生息する固有種の鳥の名前をつけて、NZの自然の生態系を守る鳥たちを意識しています。 そんなニュージーランドのユニークな鳥たちを、自然保護のお話も織り交ぜながら時折紹介していけたらと思っています。 kereru(ケレル)はNZ固有種の唯一の鳩でNZを代表する鳥の1種でもあります。よく日本でもみかけるドバトの約2倍ほどのサイズの大きな鳩ですが、頭から尾にかけての全体的に茶色がかった緑色の美しい色と胸の白さが特徴です。 kereru(ケレル)はマオリ語で、英語名はNZ wood pigeon。その名の通り森に住む鳩です。木の実全般、特にベリー類を食べます。体が大きいので、他の鳥が食べられないような大きな実も食べることができ、NZの固有植物の実を食べ糞と一緒に種を排出することであちこちに固有植物を分布するという役割を担っている実はとても大切な鳥なのです。 そんな大切な鳥kereru(ケレル)ですが、NZでは窓を大きく取るお家が多く、ガラスに気づかずにkereruが窓にぶつかるという事故が頻繁に起きています。特に実がなるシーズンは食べ過ぎて上手く飛べず方向転換出来ずにぶつかることも・・・。そんなkereru(ケレル) たちはNZ各地にあるバードレスキューセンターに地元の人が保護して連れていきます。獣医さんとレスキューセンターが連携し、回復したら野生にリリースします。 YARNではこのバードレスキューセンターへの寄付を売り上げから行なっています。 この施設を知ったのは友人がそこでお仕事をしていたことがきっかけです。 先日子供達と見学した様子を次の記事でご紹介しますね。