VOICE
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2021.06.21
鳥の楽園
皆さんは、ニュージーランドと聞いて何を連想しますか? 羊?大自然?ラグビー、それともキウィフルーツ?もしかするとキウィという鳥なら知っている!という方もいるかもしれませんね。 キウィは特徴的な細長いくちばしと羽のない茶色くて丸っこい体。その鳥の見た目とよく似たフルーツがキウィフルーツと呼ばれるようになったのです。 そんなキウィは飛べない夜行性の鳥。鳥には珍しく嗅覚が発達してくちばしの先端にある鼻の穴から匂いで食べ物を探します。この見た目がとってもユニークな鳥はニュージーランドで最もよく知られた鳥であるとともに、国のアイコンとしてありとあらゆる場所に登場していますし、また世界的にもよく知られた鳥でもあります。 ニュージーランドには他にもたくさんユニークな鳥がいます。ユニーク、という言葉は「唯一の」という意味なのですが、その言葉がぴったりな非常に特徴的な鳥がたくさんいるのです。野鳥というとなんとなく小さくて地味なイメージがあるかもしれません。またはトロピカルな地域にいるカラフルで美しい鳥をイメージされる方もいるかもしれません。世界中には本当に不思議な見た目の鳥がたくさんいるのですが、ニュージーランドにいる鳥たちも皆、どちらにも属さないまさに「唯一」という言葉がぴったりなそんな独特な鳥たちです。 その特徴はまず、飛べない鳥、大きい鳥が多いというところでしょうか。(もちろん、飛べる鳥の方が圧倒的に多いです。)8千万年という長い間孤立していた島国のニュージーランドにはコウモリ以外の哺乳類(牛、馬、鹿、うさぎ、イタチ、ネズミ、犬や猫などの四つ足の哺乳類)は、かつては存在しませんでした。この楽園のような小さな島国でひっそりと天敵に怯えることなく鳥たちは独自の進化を遂げていったのです。 ですがそんな長く続いたユートピアも人間の到来とそれに伴って持ち込まれた動物たちによって脅威にさらされていきます。絶滅の危機に置かれている鳥たちを少しでも守るお手伝いがYARNの活動を通じて少しでもできたらとYARNではコレクションごとにNZに生息する固有種の鳥の名前をつけて、NZの自然の生態系を守る鳥たちを意識しています。 そんなニュージーランドのユニークな鳥たちを、自然保護のお話も織り交ぜながら時折紹介していけたらと思っています。 kereru(ケレル)はNZ固有種の唯一の鳩でNZを代表する鳥の1種でもあります。よく日本でもみかけるドバトの約2倍ほどのサイズの大きな鳩ですが、頭から尾にかけての全体的に茶色がかった緑色の美しい色と胸の白さが特徴です。 kereru(ケレル)はマオリ語で、英語名はNZ wood pigeon。その名の通り森に住む鳩です。木の実全般、特にベリー類を食べます。体が大きいので、他の鳥が食べられないような大きな実も食べることができ、NZの固有植物の実を食べ糞と一緒に種を排出することであちこちに固有植物を分布するという役割を担っている実はとても大切な鳥なのです。 そんな大切な鳥kereru(ケレル)ですが、NZでは窓を大きく取るお家が多く、ガラスに気づかずにkereruが窓にぶつかるという事故が頻繁に起きています。特に実がなるシーズンは食べ過ぎて上手く飛べず方向転換出来ずにぶつかることも・・・。そんなkereru(ケレル) たちはNZ各地にあるバードレスキューセンターに地元の人が保護して連れていきます。獣医さんとレスキューセンターが連携し、回復したら野生にリリースします。 YARNではこのバードレスキューセンターへの寄付を売り上げから行なっています。 この施設を知ったのは友人がそこでお仕事をしていたことがきっかけです。 先日子供達と見学した様子を次の記事でご紹介しますね。 -
2021.03.18
ライフスタイル雑誌「ナチュリラ」掲載
2020年「ナチュリラ」冬号にYARNを特集いただきました。 YARNへの取り組みと想いをお話ししています。 ウェブマガジンでもご紹介いただいていますのでご覧ください。 https://kurashi-to-oshare.jp/column/116342/ -
2021.03.01
interview:マータ・ブッダ
テキスタイルデザイナー/織物作家 今回は昨年YARNの新商品「ふろしき」をデザインした、ニュージーランド在住のテキスタイルデザイナー・織物作家のマータ・ブッダさんにお話をお聞きしました。 -- 自身について、バックグラウンドを教えてもらえますか? ニュージーランドの首都ウェリントンを拠点にテキスタイルデザイナー、織物作家として活動しています。大学ではテキスタイルデザインを専攻し、紋様のデザインや手織物に関心があります。 -- 今の表現にどのようにしてたどりつきましたか?いつからアーティストになりたいと思っていましたか? 子供の頃から、物事の見え方や作り方にずっと興味を持っていました。小学校での最も影響を及ぼした思い出のいくつかは、本で見たもの、それらを解釈するために独自の方法で形にすること、そのプロセスはいつもクリエイティブであることでした。 アートへの興味を持ち続けて大学では美術学科に入学し絵画を専攻していましたが、1学期を終えてしばらく休学することにしました。また大学に戻ったとき方向性を考え直し、デザイン学科のテキスタイル専攻へ変更しました。テキスタイルに惹かれたのは大学内で最もクリエイティブな学部のように感じたからです。私が気に入ったのは物理的なプロセスで、デジタルで学ぶ教科は1つだけで、ほとんどが伝統的なパターンの作成方法をアナログな方法で学びました。最も人気のあるテクノロジーはコピー機でした。私がテキスタイルに惹きつけられたのは、学ぶべき多くのプロセスと、材料の探索と実験の機会があったからです。 私は自分自身を「アーティスト」ではなく「テキスタイルデザイナー」と言っています。アーティストの表現には責任を感じます。私のアート感覚はもしかして人々の求めるものに合わないかもしれない。「テキスタイルデザイナー」はもっと身近に自分を表現できると感じられたのかもしれません。 -- YARNとのコラボレーションでのインスピレーションや、デザインプロセスを教えてもらえますか? デザインに取り掛かるとき、その会社や人のことを理解する必要があります。これがデザインの出発点です。 YARNの世界観を私の直感で感じること、自然、誠実さ、ニュージーランドに根付くYARN、私はこれをニュージーランドの植物を通して表現したかったのです。 私の家の近くにはネイティブの植物が茂る小道がたくさんあります。木漏れ日(木々の間から溢れる光のダンス)の差し込む木々の中を歩くこと、これが今回のスタートポイントでした。いくつかの異なる植物のイラストのコンセプトをペイントや青写真などで作成しました。そこからヨーコが気に入ったものを選びデザインを展開していきました。最終的に、紙と墨汁を使用したジェスチュラル・ペインティングで、表現豊かなデザインにしています。マヌカ、シダ、コーウァイ、ホロエカ、アケアケ。これらは私の庭や近所で見つけたニュージーランドネイティブの植物で、私たちにとってなじみのある特別なものです。 ※ジェスチュラル・ペインティング身振りによる抽象絵画。紙やキャンバスに、顔料を注意深く塗らずに、垂らしたり、飛び散らせたり、汚しつけたりするような絵画の様式。具体的な対象を描いくというより、絵を描く行為自体が強調されたものになります。 -- ふろしきに印刷されているものを見てどう感じましたか? デザインが刷られた風呂敷をとても気に入っています。京都の工房での作業写真をヨーコに見せてもらった時にとても嬉しくなりました。いつか工房を訪ねてみたいです。私は、熟練の職人さんがもっている知識や技の量にいつも驚いています。彼らは伝統的な技術を継承していくためにはとても重要です。生地に印刷されるとデザインはさらに永続的なものになります。この伝統的な技法で自分の作品が印刷されるのを見ることができて光栄です。 -- イラストを見た人、ふろしきを使う人に、感じてもらいたいことはありますか? ふろしきというものは、実用的で、持続可能な、素晴らしいものです。みなさんがふろしきを日常で実用的に使うきっかけや再利用を促したり、使い捨ての包装や廃棄物について真剣に考えてもらえたら嬉しく思います。もちろん、長く愛されるデザインであることを願っています。 -- YARNやヨーコの活動について、どう感じていますか? ヨーコは素材と快適さに非常に敏感だと思います。YARNは繊細でクラシック、真摯で、身体によく、新鮮な感覚を生み出していると思います。居心地が良く快適ですし、私はキャミソールが大好きでほぼ毎日着ていますよ。 -- 今後やりたいことはありますか? 昨年は絵を描く以上に織り物・バッグ制作をしていたので、今年はバランスを取り直してパターンデザインの時間をつくってゆきたいです。