VOICE
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2021.12.13
interview:河村 美琴
裂き編みバッグデザイナー 今回は、YARNのメリノ生地でバッグを編んでくださった、裂き編みバッグブランド「MIKI KAWAMURA」のデザイナー河村美琴さんに、お話をうかがいました。 美琴さんのこれまでのバックグラウンドを教えてください 母が編物講師をしていました。機械編みをする母の膝の上が幼い頃の私のゆりかごでした。ですが、私が編み物の魅力に取り憑かれたのは大人になってから。しかも母が亡くなってずいぶん経ってからでした。はじめは市販の毛糸で服やバッグを編んでいたのですが、次第に誰も手がけていない作品を作りたいと思うようになりました。 そんな時に出会ったのが裂き編みです。 布を裂いてひも状の布糸をつくることから始まる裂き編みは、手間がかかりますが出来上がった時に愛おしく、使いやすくて型崩れしないなど魅力がいっぱいでした。 現在のお仕事の内容を教えてください。 福岡の自宅兼アトリエにて裂き編みバッグを制作しています。全国各地のギャラリーやセレクトショップ、百貨店等で展示会やPOP UP SHOPをしています。 YARNを知ったきっかけを教えてください オンラインコミュニティでYARNオーナーの陽子さんと知り合ったのがきっかけでした。福岡でYARNの展示会があることを教えていただきレギンスを購入しました。 YARNのメリノ生地での作品づくりで意識したこと、工夫したことを教えてください。 YARNの上質なメリノウールをバッグにすることはとても贅沢なこと。その生地を2cm幅の糸に裁断することに抵抗がなかったのかと言われると、それは贅沢が故に抵抗しかなかったです(笑)。メリノウール素材の良さを感じていただけるように、丁寧に大切に扱って編むことを意識しました。 生地を糸にする時、よこ地に裁断するとゴムのように糸が伸びます。YARNのウェアが身体に寄り添うのはこのよこ地の柔軟性のおかげなのだなと生地を扱いながら感じました。この柔軟な部分がバッグに物を入れた時に伸びやすくなるため、たて地に裁断をしました。たて地は柔軟性がありながらもしっかりとしたホールド感があるので、バッグに仕立てるのに最適でした。 フリンジ部分は、YARNウェアの端切れからカットしてつくりました。フリンジもたて地でとっています。しっとりと肌触りの良いフリンジに仕上がりました。普段はコットンの生地を編んでいますが、コットンよりもしなやかで肌触りが良く、編んでいて心落ち着くような不思議な感覚でした。なめらかに指の間を通るメリノウールの感触がとても気持ちよかったです。メリノウールでバッグをつくる機会を下さったことに感謝です。ありがとうございます。 YARNのオーナーである陽子についてどんな印象をもっていますか? メリノウールの産地ニュージーランドから、その素材の素晴らしさを日本に向けて発信し続けてくださる人。メリノウールやニュージーランドを語る陽子さんの声は輝いて聞こえます。自然の中にある人と未来を大切に紡いでくれる人。現地の暮らしをSNSで発信されているのを見ると、すぐにでもニュージーランド行きたい気持ちになります。 YARNを愛用くださっていますが、メリノウール素材・着心地・デザイン等、着てみた感想を教えてください レギンス、ショーツ、マスクを愛用しています。YARNに出会う前はウール独特のチクチク感がとても苦手でした。肌が弱いので本当にチクチクしないのか、かなり疑ったところから使ってみましたが、不思議なくらいチクチクしないんです!ショーツはお腹までしっかりと包み込む安心感と、この手のショーツにありがちなものとは違うデザインが素晴らしいと思いました。 おすすめなのは生活必需品となったマスクです。メリノマスクは息がしやすく蒸れない!肌触りも最高で、今やなくてはならない存在です。 YARNの取り組むサスティナブルなモノづくりをどのように思われますか? 今ある自然や資源を守りながら豊かな暮らしを続けていくこと。YARNのインナーウェアを着続けることがその取り組みの一つだと感じます。YARNに出会えたことがサスティナブルについて考えるきっかけの一つだったと感じます。 YARNの今後に期待することはありますか? 良いものをつくり続けて欲しいです。YARNのウェアが多くの人に届くことで、自然や社会を守ることに繋がっていくことを願っています。 -
2021.08.26
interview:湯浅 景子
画家 今回は、YARNの「羊のシンボルマーク」をデザインした、画家の湯浅 景子さんにお話をお聞きしました。 景子さんのこれまでのバックグラウンドを教えてください 大学での専攻は国文学科でしたが、画材屋でアルバイトをしながら独学で絵を描いていました。 友人に誘われて劇団の手伝いをする機会がありままして、公演の宣伝チラシの絵が人に見てもらった初めての作品です。2000年にアートブックを扱う書店「コロンブックス」を友人と始めてから、しばらくは筆を置いていました。デザイナーの主人の独立を機に「コロンブックス」を書店からアトリエに形態を移行したこともあって、2010年頃より再び絵を描きはじめました。そこからコンペで賞をいただくようになり、現在に至ります。 現在のお仕事の内容をおしえてください 名古屋を拠点に絵を描いています。各地で展覧会をしながら本の装画などのグラフィックイメージも手掛けています。 YARNを知ったきっかけを教えてください 松阪市のレストラン「カルティベイト」でYARNのオーナーの陽子さんが主催するニュージーランドの作品展示会で、メリノウールのベビーブランケット(現在非売品)を友人へのギフトに購入しました。 その後、YARNのインナーウェアのデザインを手がけるアトリエレイの渡辺鈴子さんから、グラフィックデザインのご相談を受けて、ご縁が繋がりました。 どのような創造のプロセスで、羊のシンボルマークが生まれましたか? 普段から針を用いて引っ掻くように線で表現する絵を描いています。YARNの新たなイメージとして作られた凛としたロゴ(デザイン:湯浅哲也)に合うように、ニュージーランドの雄大な自然と羊の包容力を意識して描きました。 YARNのオーナーである陽子についてどんな印象をもっていますか? ニュージーランドの深い文化への理解をもちながら、現代的な視点でその魅力を日本に発信してくれています。同じ島国でありながらも日本との生活環境の違いにも驚きましたが、メリノウールを通してニュージーランドのことをもっと知りたくなりました。 YARNを愛用くださっていますが、メリノウール素材・着心地・デザイン等、着てみた感想を教えてください 以前は良いウール素材でも、肌に触れるとチクチクしたり、静電気が気になっていました。YARNのレギンスとカットソーを素肌に直に着用した時に、その柔らかさと、保温・保湿力に驚きました。着ていてとにかく気持ちが良い事が一番の魅力です。もはや身体の一部のように無くてはならない存在になっています。夏は涼しく冬は暖かいので、今は一年中様々なアイテムを着用しています。下着としてだけでなく普段着で着られるデザインも気に入っています。 YARNの取り組むサスティナブルなモノづくりをどのように思われますか? 温暖化で世界的に気候変動が激しい現代において、自然と共存するための取り組みは、メーカーはもちろん個人レベルでも考え実践すべきことです。シーズンごとに消費されるアパレルと違い、生産者への感謝とリスペクトを込めてつくられている。YARNのウェアは擦りきれても、なお優しく寄り添ってくれることが嬉しいです。 YARNの今後に期待することはありますか? ゆっくりと時間と手間をかけながら質の良いものをつくり続けてください。YARNの良さを理解してくれる人に長く愛されるブランドであり続けてもらいたいです。また、日本とニュージーランドを繋ぐ架け橋として更なるご活躍を期待しています。 ※最後の画像、YARN ニュージーランド オークランド店での景子さんの作品展示の様子。 -
2021.08.17
interview : 兼松春実
「棲」編集者 / ライター YARN を実際に着ていただきました、お客様の声をご紹介する Userʼ s voice。今回は、YARN を愛用くださっている、住まいと暮らしを提案する雑誌『棲(すみか)』の編集長で、ライター の兼松春実さんに、お話をうかがいました。 今日はよろしくお願いします。春実さんのバックグラウンドを教えていただけますか? 1991 年から『建築ジャーナル』で書く仕事をはじめて、建築やまちづくり、家の取材などを主にしてきました。その後名古屋の大正時代のお屋敷だった「橦木館」にてカフェ、セレクトショップ、ギャラリーを運営していました。2003 年頃からフリーの編集者として、本をつくったり、書く活動を主にしています。2009 年から約 10 年間、『棲』という雑誌を発刊していました。 『棲』という雑誌で手がけていたことをお話いただけますか? 『棲』は住まいのことはもちろんですが、人が生きる上で関わる全ての事を取り上げたいと思っていました。安心できる食のこと、人生の終わりの迎え方、終末医療のこと、子どもを取り巻くことなどです。私は着ることも大好きなので、13 号の『「装う」の向こうに』という特集の際はYARN デザイナーのレイさんに取材させていただきました。 YARN を知ることになったきっかけは何ですか? YARN の主宰者である下山陽子さんに、私の夫が展覧会をしていたギャラリーレストランでたまたま出会ったのがきっかけです。帰りの電車の中でもずっとお話しして YARN のコンセプトに共感。その場ですぐにレギンスを注文しました。 YARN を実際に来てみていかがですか? YARN のメリノウールは着ていて本当に気持ちがいい 寒いときはもちろんですが、涼しくなったり暑くなったり気温の変化が大きい時期は最適だと思います。私はこれまで夏は綿や麻、冬はウールと言うイメージがあった。でもウールを素肌に直接着るという事を YARN に出会って知りました。メリノウールの温度・湿度の調整機能や、夏にも着られるということを知って、実際、初夏にも身につけて過ごしたけれどサラサラで気持ちがよくて驚きました。 YARN を知ってから下着のことを、もっと考えるようになりました。「着られればいい」の安ものって、すぐに伸びたりしてあまり着たくなくなる。でも、1、2 年で捨てるのもどうかと迷ったり。洋服も同じで、安くていいかもと思ったらぽんっと買って、クローゼットの場所をとっている。でも「ちょっとこれ違うな」と思う人が増えてきたというか、時代の流れが変わってきたように思います。ものを持つことの価値観。断捨離っていう言葉が流行っているのも、ものがありすぎてもそこに振り回される窮屈さがあるのかな。ストレス発散で買うのも悪くはないと思うんだけど、長く使えて、ほんとに満たされるものを着れば、服の数は少なくてもすみますよね。 ウールは世界的に見ればすごくポピュラーな素材だけど、YARN が使っているのは特別なニュージーランドのメリノウールということをちゃんと知ってもらいたいですよね。日本ではメリノがサマーウールという名前で昔から入って来てはいる。夏用のサラリーマンの高級スーツといえばポリエステル混合の生地が出る前は、メリノウールがスタンダードだった。その最高級の素材をインナーというカタチで着ることを、私たち日本人はほとんど経験していないから新鮮じゃないかなと思う。時間はかかるけどゆっくり伝わっていくのが、良い伝わり方なのかもしれない。とにかく着てみてもらいたいです。 今、私はフイア・ハーフパンツを愛用しています。それまでは日本の有名なブランドのショーツをはいてたんですよ。それでも別に心地悪くはなくて、何も意識もしてなかったはずなのに、YARN のハーフパンツをはいたら今まですごい違和感があったんだなと気づきました。私はお腹をすっぽり包み込むのが好きだけど、すっぽりのモノはいかにもといったデザインしかない。締めつけすぎず、だぶつきすぎずっていうのって、ほんと絶妙なサイズ感が必要。一日の中でも下着が動きによってくい込んだり、ゆるゆる過ぎたりも気持ち悪い。着ている人の動きを邪魔しない。ここを設計できるのはデザイナーさんの力ですね。冷房が効いているところでも、これを履いていれば安心できます。 YARN のショーツはリピートしてくださる方がすごく多いんです。はるみさんのようにショー ツ難民で、これというものに出会えてなかった方々が気に入ってくださって、少しずつ揃えたい とおっしゃってくれています。 フイア・ブラタンクトップも、冬場は毎日着ています。寝るときもパジャマの下に。暖かいし、楽だし。最近は化繊のものを肌に直接つけるのに抵抗があるようになってしまいました。いまは特にコロナで家にいるじゃないですか。 家にいるからどうでもいいんじゃなくて、家にいるからこそ、ちゃんと心地よく自分のこと労ってあげたい。そう考えたときに、YARN のインナーはぴったりだと思う。自分の身体、心が応えてくれるような豊かさ。 インナーウェアは、住まいのインテリアが人におよぼす影響と似てるところがあるのかなって。壁にクロスを貼れば安く済むけど、漆喰を職人さんに塗ってもらったら手間賃もかかるし、でも目には見えない心地よさがあるんですよ。私も引っ越す際に古いマンションを漆喰塗りにしたら、ほとんど結露もしないし、梅雨時もそれほどジメジメしないような気がします。目には見えない心地よさを感じ取れる人になること。体の声、心の声を聞いてあげてあげれば、こういうものを選びたいとなってくるのでは。 そんな人たちの力になれるものでありたいと言う願いでつくっています。 単に長生きすることじゃなくて、健全な心を持つためというか、前向きに生きるため、生き生きした人になるために、そんな人を応援するような服であり、家であり、食事であり。社会全体が良い気に溢れていてコロナにも打ち勝つみたいな。私たち一人ひとりが何を買うか、何をチョイスするかで、社会がすごく変わってくるから、そういう意識を持って生きたいですね。 今後の YARN に期待することはありますか? ものを通してある価値観を広めるような、YARN のものづくりの姿勢をたくさんの方に知っていただけるといいですね。そしてさらにたくさんの方に購入していただいて、もう少しだけ価格が手ごろなものになると(笑)うれしいです!