VOICE
-
2022.03.20
interview: IKURAさん
フードクリエイターのIKURAさんにお話をうかがいました。 いくらさんのこれまでのバックグラウンドを教えてください 2004年にフリーの料理家になりました。東京の下町にてカフェをオープン後、ケータリングや舞台のフード監修など、食の提供をベースに活動してきました。様々な異業種の方とコラボをしながら、イベント企画や映像制作の脚本を手掛けるなど「たべる」ことを五感を通した様々な形で表現してきました。 現在のお仕事の内容を教えてください 2020年に「暮らしクリエイティブスタジオeatoss(イートス)」を立ち上げ、代表をつとめています。eatossでは「おいしいはうれしい」をコンセプトに、edit & PR / eat / education の3つの「e」を軸にサービス提供しています。現在は講師業を主な活動としオンライン講座を主宰しながら「おいしい」を「こころで感じ表現できる」ヒトを育成しています。近年はプロデュース業も手掛けておりカフェ開業を目指す方をサポートしています。 食に携わるいくらさんの実現したい夢や想いは何ですか? 季節や地域の食材を使い、世界の人々に「なにげない日々のごはん」をふるまいたいです。料理は私にとって「こころの表現」であり「愛」のかたちです。「おいしい」を通じて人種、性別、言語をこえ、世界の人とこころが繋がる瞬間を体験したいです。 また講義や講演活動を通して「おいしい食卓」から「また明日もがんばろう」という生きる力を与えることで、社会に貢献してゆきたいです。 YARNを知ったきっかけを教えてください インスタグラム投稿を偶然見つけたことがきっかけでした。ちょうど環境に興味を持ちはじめた時期であったことと、シンプルで上質なインナーを探していたことが重なり、YARNさんの活動に興味を持ちました。 その時、ちょうどYARNさんが開催されていたオンラインコミュニティに参加させていただき、ニュージーランドのお話や「モノづくり」への想いを知りました。商品を手にすると、環境への感謝につながるような気持ちになり愛用しています。 YARNオーナー陽子についてどんな印象をもっていますか? 「ヒト」「モノ」に対して真摯な方という印象があります。一つひとつ言葉を紡ぐように話す姿が印象的で、丁寧でシャイな方のようにも感じています(笑)。「モノづくり」や「生産者」さんの背景や未来を願う気持ちが、商品を通してひしひしと感じられ、いつも共感しています。ニュージーランドと日本、双方の良い部分を融合させる活動は、NZを身近に感じるきっかけになりました。 YARNを愛用くださっていますがメリノウール素材・着心地・デザイン等、着てみた感想を教えてください レギンスとショーツ、それぞれ色違いを愛用しています。着ればきるほどに肌に馴染み、やんわりとする感覚がとても好きです。しめつけもなく温かいのにさらりとしていて、数あるインナーの中から、ついついYARNを手にとってしまいます。いつも少し大きめサイズを選んでいるので、インナーとしてだけではなく「魅せられる重ね着」としても楽しんでいます。 お腹をすっぽり包んでくれるショーツは安心感と大人の上品さがあり、とても気に入っています。透け感もちょうどよく、ルームウェアとしてはもちろんヨガウェアとしても愛用しています。 YARNの取り組むサスティナブルなモノづくりをどのように思われますか? 共感という言葉を超えて「願い、祈り」にも似た気持ちでYARNさん、そしてyokoさんの発信を拝見しています。世界を超えてみんなで手をとり「今、やれることをやっていこう!」という気持ちとともに、「やらなくてはいけない」と感じています。 素材を通して自然からいただいているものや、私たち人間が地球や生き物に対してできること。全てが循環の中にあること。サスティナブルなモノづくりの大切さを意識させてもらっています。私自身も共に考え、行動できればと思っています。 いくらさんの食の活動と、YARNの衣服の活動は、共通項があるような気がしますがいかがですか? はい、私もそう思っております。「たべること」の背景には単純に「つくるヒト」「食材」だけでなく大きな循環が関わっています。個々の暮らしや「食への意識」が環境をつくり出しているとさえ思っています。 「おいしい」をつくり出すには、食材があり、つくる人がいて、その奥に生産者さんがいて、偉大な自然からの恵みが必要です。暮らしの中で手にするモノ、口にするモノ、一つひとつがみんなの「意識」から「変化」を起こすと思っています。 「おいしい」は当たり前ではなく、食材を生み出す環境と、私たち自身の心と体が「健康」でなくてはなりません。自分をいたわることは身近な一歩であり、自然と共に生きる私たちが「やるべきこと」を発見するきっかけになると信じています。 YARNの今後に期待することはありますか? 色やデザイン、丈のバリエーションなど、新作を楽しみにしています。次はどんな名前かな、そんな想像もワクワクします。今後、暮らし周りの小物や寝具シリーズ、ナイトウェアなども期待しています。 YARNさんとは、業種は違えど「想い」で繋がっていると感じています。それがこれからの時代に大切なことだと思っています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします! Ikuraさんとのインスタライブでの動画はこちらからご覧いただけます。 インスタグラム -
2022.03.07
Puketi プケティの森へ / 保護活動
ニュージーランド北の森林保護区プケティの森は、 ニュージーランド、ノースランド地方で最も広大な原生雨林を形成しています。 この森に、絶滅の危機に瀕した「コカコバード」が生息しています。 また、プケティの森は、古代のカウリという木が多く生殖する森でもあります。15,000ヘクタールのプケティの森(隣のオマフタの森と合わせて)には、NZ固有種のカウリ、ポドカープ、広葉樹の壮大な林と、370種もの植物を含む豊かな生態系と多様性があり、世界の他の場所では類を見ない森です。 森はかつて多くの多様な鳥類がいましたが、人間の移住が盛んになった時代に持ち込んだ害獣によって数々の固有種が絶滅してしまったり、残りの在来鳥の多くも大幅に減少し、絶滅に直面しています。害獣とされる野良猫、オコジョ、ネズミは、毎日多数の鳥に危害を加えています。 それらを排除する取り組みとしてボランティア団体により設置された各種のトラップは、何千羽もの在来鳥の命を救うことができます。 人間の影響を受ける前は、陸生哺乳類は生息せず、鳥しかいない鳥の楽園だったニュージーランド。鳥たちは天敵がいなかったこともあり、高く飛ぶ必要がなく飛ばない鳥の種類が多いのもニュージーランドバードの特徴です。 過去には、プケティの森はマオリと初期のヨーロッパ人入植者の生活の中心でした。19世紀後半から前世紀前半にかけて、その巨大なカウリの木は繁栄する木材産業とカウリガム産業を支えました。しかしながら人間がこの大木をたくさん伐採してしまいましたので数が激減してしまいました。 森林は現在、ノースランドフォレストパークの一部として保護されており、ニュージーランド政府の自然保護局によって管理されています。 NZでは多くの固有種が国の許可なしでは伐採できないという法律があります。自分の庭に生えていても、保護指定がされている種類であれば自由に切ることができません。それほどに今はネイティブの植物をまた再び取り戻すように国を挙げて取り組んでいます。 この森に放たれて管理されているコカコは10ペアのみ確認されています。他の森にも保護されていますが、この森でも繁殖が試みられています。コカコは森の奥に住み滅多にその姿を表しませんがフルートのような美しい声で、まるで音楽を奏でているかのように鳴きます。 私はこのプケティの保護ボランティアのスタッフとして働いているYoshinoさんに、ある日彼女がオークランドのYARNショップに来てくださったのがきっかけで出会いました。Yoshinoさんは日本にいた時はパタゴニアに勤務されていたので、メリノウールウェアの良さでは話が盛り上がりました。ニュージーランドの独特な生態系に興味を持ち、今は固有種の木々を育てるナーサーリーで仕事をするなどニュージーランドの自然環境を守るお仕事にされています。森のボランティアの話を聞いて、興味津々の私、その森に行ってみたくてたまらなくなり、休暇を使って友人たちと出かけることになりました。 私の住むオークランドからプケティの森まで北へ車で約6時間。 前日は嵐で当日も雨がぱらつく中の森歩きとなりました。少しウェットな森もまた神秘的で好きです。 案内をしてくれたのはイアンさん、プケキの森ボランティア活動の理事の方。イアンさんはこの森のすぐ近くに住んでいて普段はファームをされています。森に入ると、珍しいとされるシダの種類やネイティブの植物や木々のお話を沢山してくださり、ボランティアによって道の途中に仕掛けた害獣の罠の説明をしてくれました。 私たちが普通に森を歩いていても気づかずに通り過ぎてしまう植物のこと、いかにユニークな生態系であるかを聞きとても興味深かったです。もちろん歩いている中鳥たちにも沢山出会いました。 YARNのコレクションの名前にもつけている、「ファンテイル」 、「ロビン」、「ケレル 」(現在は販売終了)、そして夜は森の守り神「ルル」。 同じ景色の中にいても、目を向けるところが違うだけで、そこには別世界が広がっているようでした。 この広大な森に、害獣駆除やNZネイティブの木々を守る活動はそれはそれは途方もなく地道なことです。でも誰かが気にかけなければ行動しなければもっと自然破壊やNZの鳥たちが失われていきます。 まず、こうして森に入ってその豊かな自然の営みや恵みを感じたり、私たちにとってどうしてその森が必要かを肌で身近に感じることは本当に大切なことだと思いました。体験するということは知識に勝ることに感じます。 YARNは今後もこの森に定期的に売り上げから寄付することにしています。わずかなことですが私のできることでのNZへの恩返し、サポートをさせていただけたらと思います。 いつか機会がありましたらYARNニュージーランドツアーも将来したいと思っています。森歩きやファームへの訪問など皆様といっしょにできたら楽しそうです! 樹齢500年の大木「カウリの木」と「トタラ」、どれも先住民族であるマオリ族の言葉で名付けられています。 森を案内くださったプケティトラストの理事、イアンさんと私。 プケティトラストでボランティアをするYoshinoさんとパートナーさん 月に一度、数日森に入り山小屋で生活をして森のパトロールをします。 Pukethi Trust の活動 プケティの森を、地域社会の精神的、文化的、歴史的、経済的、社会的幸福に不可欠な完全で健康的な生きた森に復元し、将来の世代のために永続的に維持すること プケティの森のマウリ(物理的および精神的な力)と同様に、歴史的および文化的重要性を回復するため プケティの森の回復が成功し、回復された森の恩恵がより広いコミュニティによって実現されることを確実にするために、さまざまなグループを集めて代表すること プケティの森についての教育を促進し、自然保護教育と科学のリソースになるため 復旧プロジェクトのすべての段階でガバナンスと方向性を提供し、資金調達を可能にする 保全と土地所有者の意識におけるリーダーシップを示すため プケティの森に隣接する土地の所有者が、プケティの森を完全に健康な生きた森として維持するのを助けるような方法で、彼らの土地の原生林を管理することを奨励し、支援すること。 photo by Dunkan こちらからコカコの鳴き声をお聞きください。 https://youtu.be/LZEOylr5ng8 YARN コカココレクション クルーネック -
2021.12.13
interview:河村 美琴
裂き編みバッグデザイナー 今回は、YARNのメリノ生地でバッグを編んでくださった、裂き編みバッグブランド「MIKI KAWAMURA」のデザイナー河村美琴さんに、お話をうかがいました。 美琴さんのこれまでのバックグラウンドを教えてください 母が編物講師をしていました。機械編みをする母の膝の上が幼い頃の私のゆりかごでした。ですが、私が編み物の魅力に取り憑かれたのは大人になってから。しかも母が亡くなってずいぶん経ってからでした。はじめは市販の毛糸で服やバッグを編んでいたのですが、次第に誰も手がけていない作品を作りたいと思うようになりました。 そんな時に出会ったのが裂き編みです。 布を裂いてひも状の布糸をつくることから始まる裂き編みは、手間がかかりますが出来上がった時に愛おしく、使いやすくて型崩れしないなど魅力がいっぱいでした。 現在のお仕事の内容を教えてください。 福岡の自宅兼アトリエにて裂き編みバッグを制作しています。全国各地のギャラリーやセレクトショップ、百貨店等で展示会やPOP UP SHOPをしています。 YARNを知ったきっかけを教えてください オンラインコミュニティでYARNオーナーの陽子さんと知り合ったのがきっかけでした。福岡でYARNの展示会があることを教えていただきレギンスを購入しました。 YARNのメリノ生地での作品づくりで意識したこと、工夫したことを教えてください。 YARNの上質なメリノウールをバッグにすることはとても贅沢なこと。その生地を2cm幅の糸に裁断することに抵抗がなかったのかと言われると、それは贅沢が故に抵抗しかなかったです(笑)。メリノウール素材の良さを感じていただけるように、丁寧に大切に扱って編むことを意識しました。 生地を糸にする時、よこ地に裁断するとゴムのように糸が伸びます。YARNのウェアが身体に寄り添うのはこのよこ地の柔軟性のおかげなのだなと生地を扱いながら感じました。この柔軟な部分がバッグに物を入れた時に伸びやすくなるため、たて地に裁断をしました。たて地は柔軟性がありながらもしっかりとしたホールド感があるので、バッグに仕立てるのに最適でした。 フリンジ部分は、YARNウェアの端切れからカットしてつくりました。フリンジもたて地でとっています。しっとりと肌触りの良いフリンジに仕上がりました。普段はコットンの生地を編んでいますが、コットンよりもしなやかで肌触りが良く、編んでいて心落ち着くような不思議な感覚でした。なめらかに指の間を通るメリノウールの感触がとても気持ちよかったです。メリノウールでバッグをつくる機会を下さったことに感謝です。ありがとうございます。 YARNのオーナーである陽子についてどんな印象をもっていますか? メリノウールの産地ニュージーランドから、その素材の素晴らしさを日本に向けて発信し続けてくださる人。メリノウールやニュージーランドを語る陽子さんの声は輝いて聞こえます。自然の中にある人と未来を大切に紡いでくれる人。現地の暮らしをSNSで発信されているのを見ると、すぐにでもニュージーランド行きたい気持ちになります。 YARNを愛用くださっていますが、メリノウール素材・着心地・デザイン等、着てみた感想を教えてください レギンス、ショーツ、マスクを愛用しています。YARNに出会う前はウール独特のチクチク感がとても苦手でした。肌が弱いので本当にチクチクしないのか、かなり疑ったところから使ってみましたが、不思議なくらいチクチクしないんです!ショーツはお腹までしっかりと包み込む安心感と、この手のショーツにありがちなものとは違うデザインが素晴らしいと思いました。 おすすめなのは生活必需品となったマスクです。メリノマスクは息がしやすく蒸れない!肌触りも最高で、今やなくてはならない存在です。 YARNの取り組むサスティナブルなモノづくりをどのように思われますか? 今ある自然や資源を守りながら豊かな暮らしを続けていくこと。YARNのインナーウェアを着続けることがその取り組みの一つだと感じます。YARNに出会えたことがサスティナブルについて考えるきっかけの一つだったと感じます。 YARNの今後に期待することはありますか? 良いものをつくり続けて欲しいです。YARNのウェアが多くの人に届くことで、自然や社会を守ることに繋がっていくことを願っています。